しごと情報ネットが廃止されました
しごと情報ネットとはどういったものだったのか?
しごと情報ネットは、アメリカ労働省が運営するインターネット上の求人情報サイトであるAJB(アメリカズ・ジョブバンク)※1を参考に、ハローワークインターネットサービスで検索できるハローワークの求人に加え、民間の求人情報も検索できることを目的として2001年8月8日にサービスが開始されました。2時間ごとに求人情報が更新されており、あらかじめ求職者マイページに登録を行って検索条件の設定をしておけば、使用するたびにいちいち検索条件を入力する手間が省けるものでした。
このしごと情報ネットが2016年3月31日をもって廃止されました(ドメインを行政が手放してしまったので、現在運営されている同名サイトは厚生労働省とは全く関係のない別物です。)。そこで、しごと情報ネットとはどういったものだったのかを検証を交えながら振り返っていきたいと思います。
※1…AJB(アメリカズ・ジョブバンク)は、サイトが使いにくいとの批判や運営費の高さから段階的にサイトが縮小され2007年6月30日に閉鎖されました。現在は民間に委託してサービスを行う形に変わっています。
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そもそも存在自体を知ってる人が少なかった
Q.しごと情報ネットを知っていますか?※2
サービス開始から12年後の2013年に行われた最新のアンケートの時点でも、しごと情報を知っている人が26.5%と認知度がかなり低かったことがわかります。
※2…求職の意思があり、インターネットを活用した求職活動の経験がある失業者、転職希望者等を対象に2013年10月1〜15日の期間にインターネットを通じてモニター調査が行われたもので有効回答数は1,500人です。
利用者の満足度とその理由
Q.しごと情報ネットに満足していますか?※2
利用者の満足している理由としては、「効率的に検索できる」「簡単に検索できる」が最も多く、満足していない理由としては、「求人情報が少ない」が最も多くなっています。参加機関の満足していない理由としては、「期待していた効果が実感できない」「認知度が低く、求人者へのPR効果がない」が最も多くなっており、ここでもしごと情報ネットの認知度の低さが表れています。
参加しなかった大手民間会社
しごと情報ネットの「売り」は民間の求人情報も検索できるというのものですが、参加しているのはほとんどが中小の会社で大手はあまり参加していません。民間で競争に晒されつつコストを掛けて自社サイトを築き上げてきた大手が、しごと情報ネットに情報を提供しないのは当たり前といえば当たり前です。結局、民間サイトを調べて回る手間はあまり変わっていないことになります。
減少していくアクセス数
月がバラバラなので単純に比較しづらいのですが大まかな傾向として、1日当たりの平均アクセス数が2008年8月まではほぼ横ばいで推移し、リーマンショック後の2009年2月にピークとなった後、右肩下がりに減少しているのが見て取れます。
厚生労働省は、しごと情報ネット廃止の理由のひとつとして求人情報の民間開放(2014年9月から)や、同様の民間サイトの増加に伴う利用率の減少を挙げています。
年度別の予算と追加された機能
2010年度は、議事録第31回では8.3億円、第32回では7.7億円と数値が異なっています。2001〜2002年度、および2015〜2016年度に関しては議事録で言及されていないので不明です。
追加された主な機能
- 2003年度、求職者マイページおよびメール配信サービス
- 2004年度、ハローワークの求人を除いて検索できる機能、求職している障害者情報の閲覧機能
- 2005年度、携帯版のマイページおよびメール配信サービス
- 2012年度、留学生等外国人向けの求人検索機能、日雇求人(労働者派遣・ 労働者供給求人を除く)のみを検索できる機能
参考資料
- しごと情報ネット運営協議会の議事録など | しごと情報ネット(リンク切れ)
- 厚生労働省が運営する求人サイト「しごと情報ネット」を平成28年3月に閉鎖します | 報道発表資料 | 厚生労働省
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