失業保険(失業給付)の額が少なかったことが判明しました
失業保険(失業給付)の額が少なかったことが判明
平成31(2019)年1月11日に厚生労働省から、雇用保険の失業給付や労災保険などで給付額が少なかったことが公表されました。最終的にその額は雇用保険だけでも280億円(約1,942万人)に上り、全体では567.5億円(約2,015万人)となりました。また、追加給付にかかる費用としてシステム改修費や事務経費で約220億円がかかる見込みです。
保険の種類 | 対象人数 | 給付額 |
---|---|---|
雇用保険(失業給付など) | 約1,942万人 | 約280億円 |
労災保険(年金給付) | 約27万人 | 約240億円 |
労災保険(休業補償) | 約45万人 | 約1.5億円 |
船員保険 | 約1万人 | 約16億円 |
事業主向けの助成金 | 約30万件 | 約30億円 |
そもそも給付額はどのように決められているのか
失業保険(失業給付)の額は、毎月勤労統計調査で調査されている「毎月決まって支給される給与」の前年度の平均額をもとに各上限額や下限額が決められ、1日あたりの給付額が算出されています。
なぜ給付額が少なくなってしまったのか
毎月勤労統計調査は、賃金、労働時間及び出勤日数の変動を明らかにするために厚生労働省が行っているもので、全国を対象に毎月行われる全国調査、都道府県別に毎月行われる地方調査、従業員が1~4人の会社に毎年7月に行われる特別調査があります。このうち全国調査と地方調査は本来、従業員が5~29人、30~499人の会社はそれぞれ無作為で抽出し、従業員が500人以上の会社は全て調査することになっています。ところが平成16(2004)年から平成29(2017)年にかけて東京都に関して従業員が500人以上の会社を全て調査せずに約3分の1ほどしか調査していませんでした。これにより前述の「毎月決まって支給される給与」が本来よりも平均で0.6%低くなってしまったため、それに応じて給付額も少なくなってしまったのです。
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対象者と受け取れる金額について
雇用保険関係は平成16(2004)年8月以降、労災保険関係は平成16(2004)年7月以降、船員保険は平成16(2004)年8月以降に以下の給付を受給した方が対象です。ただし、時期や賃金日額によっては再算出しても同じ額となるために追加給付の対象とならない場合があります。厚生労働省のサイトにある「簡易計算ツール」で受け取れる見込み金額がわかります。
給付の種類 | 一人あたり平均額 | 対象期間 |
---|---|---|
失業給付(延長給付を含む) | 約1,345円 | 平成16(2004)年8月以降に受給 |
高年齢求職者給付 | 約414円 | |
短期雇用特例求職者給付 | 約505円 | |
就職促進給付 | 約355円 | |
高年齢雇用継続給付 | 約22,655円 | |
育児休業給付 | 約3,099円 | |
介護休業給付 | 約364円 | |
教育訓練支援給付金 | 約967円 | |
就職促進手当 | - | |
政府職員失業者退職手当 | - | |
労災保険(年金給付) | 約9万円 | 平成16(2004)年7月以降に受給 |
労災保険(休業補償) | 平均300円/月 | |
船員保険(障害年金) | 約15万円 | 平成16(2004)年8月以降に受給 |
船員保険(遺族年金) | 約17万円 |
いつから受け取れるのか
現在受給中の方
現在受給中の方が、過去に受け取った分に関しての「追加給付のお知らせ」の送付時期と支払い時期については以下のようになっています。
雇用保険 | お知らせ | 支払い時期 |
---|---|---|
基本手当、育児休業給付、介護休業給付 | 3月18日から(済) | 4~6月頃(済) |
上記以外 | 10月28日から順次 | 11月1日から順次 |
労災保険 | 支給調整の有無 | お知らせ | 支払い時期 |
---|---|---|---|
年金給付 | なし | 5月23日から順次(済) | 6月14日から順次(済) |
あり | 9月27日から順次 | 10月15日から順次 | |
休業補償 | なし | 6月26日から順次(済) | 7月5日から順次(済) |
あり | 7月26日から順次 | 8月9日から順次 |
船員保険 | お知らせ | 支払い時期 |
---|---|---|
障害年金および遺族年金 | 4月10日(済) | 4月15日※4(済) |
事業主向けの助成金 | お知らせ | 支払い時期 |
---|---|---|
各種助成金 | - | 3月18日から |
*4…労災保険の上乗せ給付のみを受給している一部の方を除く。
過去に受給されていた方
過去に受給されていた方への、「追加給付のお知らせ」の送付時期と支払い時期については以下のようになっています。次の1~4に該当する方にはお知らせが届かない可能性がありますので「追加給付問い合わせ専用ダイヤル」や厚生労働省のサイトにある「追加給付に係る住所情報等登録フォーム」で必要事項を登録する必要があります(後述)。
- 平成22(2010)年10月4日以前に氏名を変更された方
- 住民票記載の住所と異なる場所に一時的に滞在されている方
- 海外転出届を市町村に提出していることにより、住民票が除票されている方
- ご家族が雇用保険等を受給中または受給終了後に亡くなられた場合のご遺族
雇用保険 | 住所の電子データの有無 | お知らせ | 支払い時期※3 |
---|---|---|---|
育児休業給付 | - | 8月8日から※1 | 11月1日から順次 |
育児休業給付以外 | あり | 10月28日から※1 | 11月1日から順次 |
なし | 10月28日から※1 | 11月1日から順次 |
労災保険 | データの保管場所 | お知らせ | 支払い時期※3 |
---|---|---|---|
年金給付 | - | 9月20日から順次※1 | 10月30日から順次 |
休業補償 | システム台帳 | 8月28日から順次※1 | 9月27日から順次 |
システム台帳以外 | 11月頃から順次※1 | 12月頃から順次 |
船員保険 | お知らせ | 支払い時期※3 |
---|---|---|
障害年金および遺族年金 | 4月23日から | 6月14日から順次 |
事業主向けの助成金 | お知らせ | 支払い時期※3 |
---|---|---|
各種助成金 | 4月から※2 | 順次(未定) |
※1…現住所を特定できた方から。
※2…追加支給の対象となることが確認できた方から。
※3…お知らせが返送されて振込先口座を確認できた方から。
お問い合わせ
ご質問、ご相談及び情報登録は通話料無料の「追加給付問合せ専用ダイヤル」から、情報登録のみであれば厚生労働省のサイトにある「追加給付に係る住所情報等登録フォーム」から行えます。平成31(2019)年3月12日時点で住所が不明の方が1千万人以上おり、住民基本台帳と照合して調査する必要がある状態です。
参考資料
- 追加給付の進捗状況について11月 | 厚生労働省
- 追加給付について7月 | 厚生労働省
- 追加給付について6月 | 厚生労働省
- 毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):調査の概要 | 厚生労働省
- 毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて | 厚生労働省
- 雇用保険、労災保険等の追加給付について | 厚生労働省
- 勤労統計不正、追加給付800億円 事務費に数百億円 | 産経ニュース
- 毎月勤労統計調査に係る雇用保険の追加給付に関するQ&A | 厚生労働省
- 毎月勤労統計調査に係る雇用保険、労災保険等の追加給付について | 厚生労働省
- 雇用保険・労災保険・船員保険の給付を受給していた皆様へ「追加給付問合せ専用ダイヤル」を設置いたしました(PDF) | 厚生労働省
- 4~5月の追加給付のスケジュールについて | 厚生労働省
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